「ありがたいを感じる心」

朝晩の風が少しづつ秋の匂いを運んで来ている。朝犬の散歩をしていて、一日中泣いていたセミが道に落ちているのを見ると、なんなくやり終えた感がしてうらやましくも感じる。

西行法師の歌に
「何事の おわしますをば 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」がある。

西行法師が、伊勢神宮に参拝した時に、その時の感動を詠んだ歌である。西行法師は仏教に帰依している身なので、伊勢神宮の名前を直接出さずに、「何がいらっしゃるかはわからないが、そのありがたさに涙がこぼれる」と歌ったと言われている。
この「かたじけなさ」とは一体何だろう。

1 もったいない。恐れ多い。
2 身に受けた恩恵などに対して、感謝の念でいっぱいであるさ
ま。身にすぎて、ありがたい。
3 恥ずかしい。面目ない。
とある。

自分には不相応で恐れ多いという意味から感謝の気持ちをを表す。日本人独特の言葉でもある。西行はこの時、神様のような存在から受ける超越的な慈悲を指して「かたじけなさに涙こぼるる」と表現しているように思われる。日本人独特の感覚と言葉が消えていく。「私にはもったいない」という感情。それを超越して「ありがたい」と自然に涙が流れる。
ただただ「ありがたい」と感じる体験はなかなかできない。

「ありがたい」と感じる生活。私は、まだまだだと悩む

高山曜三