「子供に遺す?」

遺産相続セミナーにお誘いを受けた。遺産が無いので結構です。と言ったが、「いやいやそういう方でも後で問題は起こりますから。」と根拠のないことを言う。それよりも私の頭には、「司馬温公の家訓」が思い出されていた。

●金を積んで以(もっ)て子孫に遺(のこ)せども子孫未だ必ずしも能(よ)く守らず●書を積んで以て子孫に遺せども子孫未だ必ずしも能く読まず●冥々の中に陰徳を積んで以て子孫長久の計(はかりごと)と為すに如(し)くはなし


通釈は、
●資産を多く残しても、子や孫たちがこれを上手に使うことは無理だろう。
●名著をたくさん残しても、これを読んで知恵をつけることも無理かもしれない。
●私が陰徳(表にでない徳)を積むことこそが、子孫が幸せに暮らす基となるのだ。


全くその通りだと思う。

司馬 光は、中国北宋代の儒学者、歴史家、政治家だ。
温国公の爵位を贈られたため「司馬温公」と呼ばれることも多い。日本では『資治通鑑(しじつがん)』の編者としても著名で、司馬温公の「勧学の歌」の中にある
「子を養うて教えざるは父の罪なり。師道にして厳ならざるは師の怠りなり。父教え師厳にして学問成らざるは子の罪なり」がよく知られている。

経団連は就活ルールを無くすと言い出した。克己奮励して偏差値の高い大学を目指すのも就職のためだろうから、大学生にとっては一大事なことだ。だから賛否両論だ。私はあせらず、流されず自分づくりに励んでほしい。

「勧学の歌」の中にある
「勉(つと)めよ後生(こうせい) 力(つと)めて誨(おし)えを求めよ」「明師(めいし)に投(とう)じて 自(みずか)ら昧(くらま)すこと莫(なか)れ」

(若者よ。努めて師の教えを受けなさい。立派な先生のところに身を寄せて学び、決して自らの本性をくらましてはいけないのだ。)
若者にを贈りたい。

高山曜三