「友達」

塾にアルバイト出来ている女子大生が「友達」と言うことで悩んでいた。聞けば大学の生活で友達がいなければ、生活できないと言う。答えるもばかばかしいと思い聞き流していたが、
この年齢の時は誰でも他者と自分との距離感、相違など。真剣に悩んでいたと自分を振り返った。
自分が19,20歳の時は孟子の言葉に助けられた。

「孟子曰く、長を挟(さしはさ)まず、貴を挟(さしはさ)まず、兄弟を挟(さしはさ)まずして友とす。友とはその徳を友とするなり。以て挟(さしはさ)むこと有るべからず。」
現代語訳
孟子が弟子の友についての問いに答えた。友と交わるには、相手が自分より年長者であること、自己が富貴であること、自己の兄弟が勢力者であることなどを、一切心に置かずに交わるべきである。友と言うのはその人の徳を友とするので、もしこのような世俗の条件が心にあれば、徳を友とすることはできず、真の交友とはいえない。

もちろん女子大生には孟子の言葉を伝えても伝わらないので、噛み砕きながら話をした。数日後、「講義の時や、昼食のとき一緒にいなくても大丈夫だと思うようになった」との報告を受けた。孟子の言葉ではないものが伝わったらしいが、まあ少しずつ理解してくれたらよいか。と安堵。

自分を磨かねば「徳」は見えてこない。

高山曜三