一昨年「幽霊子育て飴」の話を書いた。
10年ほど前は不二屋の賞味期限偽装の問題が世間を騒がしていた。
今回は笑えないのが「現代版幽霊子育て飴」だ。親が亡くなっても死亡届を出さずにそのままにして、年金を不正受給しているという犯罪である。
親はわが子の未来のために頑張って一生懸命働き高い学費を出し、大学へ行かせる。近年の大学進学率は50,8パーセントになっている。誰もが高学歴になったが幸せになったかと言えば、そうなった人もいるだろう。しかし、働けず、なのか働かずなのか家にいる者。自分探しだと言って自分がない者。いろいろな人が社会にはあふれている。日本全国でフリーターは約176万人、ニートは60万人ほどいると言われている。そして、若者はいつしか老人となる。
親と暮らし、長い年月親のすねをかじり続ける。寿命が長くなったことの恩恵をあますことなく受けれるのは、ご本人ではないかもしれない。そして年金も子供につぎ込まれる。最後は不正受給の犯罪となる。まさしく、「現代版幽霊子育て飴」だ。悲しい話だ。死んでも死にきれないとはこのことかもしれない。
行きつけの喫茶店につばめが巣立ちをした後の巣が残っていた。黄色いくちばしで餌を求めていた雛たち。最近りりしい顔になってきたなと思った矢先の巣立ちだった。
人間の「自立」はいつなのか。
文化人類学の先生が「おばあさん」という存在があるのは人間だけで、それほど人間は成長するのに時間がかかるとおっしゃったことが印象深かった。ましてや死んでも食い物にされるとはあまりに悲しい。
高山曜三