当たり前のことが最も難しい

幕末の三舟とは、幕末から明治時代初期にかけて活躍した幕臣である勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟の3名の総称である。
そのうちの一人山岡鉄舟は、幕末から明治時代の幕臣、政治家、思想家。剣・禅・書の達人としても知られ、幕臣として、清河八郎とともに浪士組を結成。江戸無血開城を決定した勝海舟と西郷隆盛の会談に先立ち、官軍の駐留する駿府(現在の静岡市)に辿り着き、単身で西郷と面会した。
西郷隆盛に「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない」と言わせた人物でもある。
自分自身に当てはめるなら、自分が未熟過ぎて心が痛む鉄舟の二十則がある。
嘘を言うべからず候
君のご恩は忘るべからず候
父母のご恩は忘るべからず候
師のご恩は忘るべからず候
人のご恩は忘るべからず候
神仏ならびに長者を粗末にすべからず候
幼者をあなどるべからず候
己に心よからざることは他人に求むべからず
腹を立つるは道にあらず候
何事も不幸を喜ぶべからず候
力の及ぶ限りは善き方につくすべく候
他をかえりみずして自分のよきことばかりすべからず候
食するたびに稼穡(かしょく=種まきと収穫、農業のこと)の艱難(かんなん)を思うべし すべて草木土石にても粗末にすべからず候
ことさらに着物を飾り、あるいはうわべをつくろう者は、心に濁りあるものと心得べく候
礼儀を乱るべからず候
何時何人に接するも客人に接するように心得うべく候
己の知らざることは何人にても習うべく候
名利のために学問技芸すべからず候
人にはすべて能、不能あり。いちがいに人をすて、あるいは笑うべからず候
己の善行を誇り顔に人に知らしむべからず。すべて我が心に恥ざるに務むべく候
実行するときは当たり前のことが最も難しいと感じる。