朝ラジオを聞いて、結婚しないでもよいと思っている国民が70%と聞いて、こんな歌を思い出した。
日の本(ひのもと)に生まれ出でにし益人(ますびと)は神より出でて神に入るなり
江戸時代の伊勢神宮の神官中西直方の歌である。
祖先の神から出たものは、祖先の神のところへ帰って行くのだと言う、この歌ほど日本民族の死生観を表したものはないと思う。つまりは、日本人の生命は、祖先、自分、子孫と永遠に「血」「心」の連続を形成しているという歌である。
故森信三先生が言う「教育とは厳粛で崇高な仕事なのです。民族の文化と、魂を受け継ぎ伝えていく大事業なのです。」に通じるものがある。「心」の連続を形成するのは「教育」なのだと思う。それ故先生は教師にはことのほか厳しく、愛情のある言葉を投げかけられている。
「教師を志すほどの者が
自分一箇の人生観、
世界観を持たなくて
どうするのです。
眼(まなこ)は広く
世界史の流れをとらえながら
しかも足元の紙くずを拾う
という実践をおろそかに
してはなりませんぞ。」
いくら立派な言葉を生たちに投げかけても、足元の紙くずを拾えないようでは人を育てることはできない。まさしくその通りだと思う。
高山曜三