「体力と耐久力」

夜中、屋根を打つ雨の音で目が覚めた。雨音と風が木々を揺らす音は演奏会でそれぞれの楽器の音を聴いているようだ。朝は雨の音かと思ってベランダに出ると、雨は降っていない。沢を流れるゴーという音に変わっている。5時から読書しながら、今日の言葉を探す。いつの間にか6時を過ぎている。今日はゲーテの言葉を拾った。

「立派な目標と偉大な仕事をやり遂げる道は、二つしかない。体力と耐久力である。体力はほんの一握りの恵まれた人間のものである。しかし厳しく身を守り、常に耐え抜くことは、ごく弱小な者でもできるし、たいていの場合目標を達成する。これは、彼の無言の力が時が経つにつれ、何ものにあってもへこたれないほど強力になるからだ。」

幼い時「この子は根気がなくて不器用だ」と母から言われた。母は、ジグソーパズルを買ってきてくる日も来る日もやらせた。ジグソーパズルに私がハマりだすと、そんなことばかりしていてはいけないから、「本を読め」と数冊の本を買ってきた。小学生から読み出した本は高校生になる頃には千冊を超えていた。家が傾くから図書館で借りてこいと言われた。何かにつけ耐久力を鍛えてくれた母には感謝する。
しかし、情けないことに「体力と耐久力」がそろそろ切れてきた。