「次への準備」

ひもろぎ苑も25年を迎えかなり整備が進み、特にここ数年でずいぶん変化を遂げた。

ひもろぎ苑を作っている段階で、仕事が終わると、工具をきちっと片づける習慣を身につけたので、NPOのメンバーは片付けも早い。設営の段階から、復旧を考えてしているということもある。

工具も洗って元に戻すのは次の作業のためである。そうしたことからも、塾では靴を揃えること、自転車の止め方をやかましく言う。最初はめんどくさいなあ。という顔をするが、習慣になると自然でできる。自分で自分を動かすことは簡単そうで、なかなかそうはいかない。習慣にすると考えている間もなく体が動くから良い。「厭だ」「面具臭い」がなくなる。この状態は勉強も同様だ。

出船精神(でふねせいしん)と言う言葉がある。旧日本海軍の伝統で、いつでも確実、迅速に行動できるよう準備を怠らないようにしようとする精神のこと。船舶の桟橋への係留方向についての用語からきている。駐車する際にたとえると、前進で車の先頭を奥にして停めるのが「入船」、後進で車の後尾を奥にして停めるのが「出船」である。

「出船」のほうが「入船」より確実、迅速に発進できる。 このことから、以後の動きをスムーズにするべく事前に用意し、いつでも使用可能な状態にすることを指す。 当たり前だと思う方も多いと思う。しかし、船は車とは違い、出船にするだけで時間がかかる。長い航海の後、早く家族にも会いたい、早く陸に上がりたいと思っての出船なのだろうから。「海上自衛隊でもこの言葉は使われ実際の入港も長らく出船で行われてきたが、エンジンの騒音問題等を踏まえ、近年は入り船での入港がもっぱらである。」とのことである。

「片づけ」は終わったからするものではなく、次にするから必要なのである。後片付けが次の準備になるような片づけが出来るようになりたいものだ。

高山曜三