大学で授業をしている。
教室にあっては、およそ教育は将来の国を背負う人材を育てるためにあると思う。自分に迎合し、よく言うことを聞く人間に育てているのではない。しかし、学ぶ姿勢がなければ改めてもらうしかない。どのようにしたら、通じるのか。
西郷隆盛曰く
「人間がその知恵を働かせるということは、
国家や社会のためである。
だがそこには人間としての
「道」がなければならない。
電信を設け、鉄道を敷き、
蒸気仕掛けの機械を造る。
こういうことは、たしかに耳目を驚かせる。
しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのか、
といった必要の根本を見極めておかなければ、
いたずらに開発のための開発に
追い込まわされることになる。
まして、みだりに外国の盛大を羨んで、
利害損得を論じ、
家屋の構造から玩具にいたるまで、
いちいち外国の真似をして、
贅沢の風潮を生じさせ、財産を浪費すれば、
国力は疲弊してしまう。
それのみならず、人の心も軽薄に流れ、
結局は日本そのものが滅んでしまうだろう。」
グローバルと叫ぶ今の社会が忘れてはならない言葉だ。教育の意義はまさしく「人間がその知恵を働かせるということは、国家や社会のためである。だがそこには人間としての「道」がなければならない。」のとおりである。